
T 寺
Description of the work
景色と一体になる、やわらかな境界線。
枝垣は、建物と庭との間にやさしい余白をつくり、袖垣は動線の節目に品格あるしつらえを添えています。
どちらも「仕切る」ためのものではなく、「つなぐ」ための存在。
目には見えない空気や気配を、竹と縄でそっとかたちにしたような、そんな佇まいを意識しました。
時が経つごとに表情を変えていく竹や杉皮の美しさもまた、寺院の時間の流れと重なり合います。
苔庭と呼応する、控えめな存在感。
白砂の小径、青もみじ、石仏…
その一つひとつを邪魔することなく、垣根は背景として、また構成要素として、風景に溶け込みます。
「ただそこにある」ことの美しさを体現するような存在でありながら、訪れる人の視線をやさしく導き、空間全体に心地よいリズムをもたらしています。