門松

Description of the work

門松 ── 竹に宿す、年迎えの祈り。

新しい年を迎える玄関に、凛と立つ一本の竹。
その傍らには松、梅、南天、春を待つ花々──
門松は、ただの装飾ではありません。
それは、古来より“歳神様”をお迎えするための、神聖なる依代(よりしろ)です。

竹は天に向かって真っ直ぐに伸びる姿から、
「成長」「繁栄」「清らかさ」の象徴とされ、
松は不老長寿を、梅は春の兆しを、
南天は“難を転じる”縁起物として添えられてきました。

竹之助がつくる門松は、伝統の意味を大切にしながらも、
現代の暮らしや建築に寄り添う“美のかたち”を追求しています。

一つひとつの竹は、職人・片岡大輔の手で丁寧に選ばれ、
節や厚みによって切り出しの角度を変え、組み方にも細やかな工夫を凝らしています。
結びに使われる縄も、神聖さを損なわないよう丹念に整えられ、
植え込みの彩りには、迎春を祝う心が豊かに表現されています。

直線と曲線、静と動、余白と華やぎ──
そのすべてがひとつの構成において調和するように設計された門松は、
ただ“飾る”ためではなく、“祈り”を届けるための仕事です。

日々の仕事を通じて、竹とともに生きている私たちだからこそできること。
それは、竹に宿る清らかな力を、年の初めに届けること。

竹之助の門松は、
“願い”と“技”が静かに融合した、新年の風景のひとつです。

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